2019年12月

12月といえば忘年会ですが、今年は少し機会が減っています。台風
19号の被災者に心を寄せて、10月以降、宴会、飲み会などの自粛ム
ードが広がっています。特に企業、団体、行政などが率先して自粛
しているので、権堂あたりは閑古鳥が鳴いているようです。とある
大手ホテルの営業担当者に聞いたところ、10月以降の宴会のキャン
セル総額は3千万円以上になったと言っていました。配慮はもちろ
ん必要ですが、地域の沈滞ムードを元気づけて、被災地・被災者支
援の意気を示すためにも、飲んで景気づけもいかがですか。


関西電力幹部への不正な原発マネー還流問題は、1980年代から続い
ていたようです。民間企業とはいえ、公益事業を展開する関電が、
このような不可解な金品の受け取りを長年にわたって続けていたこ
とは、いかに電力会社の企業文化が一般社会とかけ離れた異質なも
のであるかが、またもや暴露されました。


問題は企業統治にとどまらず、その不正を許してきた関電労働組合
の体質にも及びます。ヤマト運輸をつくった元社長の小倉昌男氏は
「労働組合は企業の病気を知らせる神経だ」と強調し、組合の厳し
い指摘に耳を傾けました。関電労組は、まさに経営者と一体となり
汚濁を許し、放置してきた共同正犯です。自らの企業の不正や違法
行為、社会的公正からの逸脱に対し、当該の労働組合が社会に対し
告発できるかどうかが、労働組合が真っ当であるかどうかの分かれ
道です。自戒を込めて。


1.日 時 12月17日(火) 10時
2.場 所 長野市ふれあい福祉センター4階-2
3.内 容 ①木村俊雄氏(元東電)『文芸春秋』記事
     ②中村敦夫「線量計が鳴る」上演について


2019年12月12日


             (文責:事務局担当 喜多)

【2019年11月16日市民集会・脱原発2019in信州 
土の除染より「心の除染」?
福島県伊達市で何がおこなわれたのか 
集会アピール】 


集 会 ア ピ ー ル

 東京電力福島第一原発事故では、事故直後の高線量の中で多くの
人々が被ばくを強いられました。その事実は消すことはできません。
そして健康への不安は消えることはありません。放射線被ばくは、
すべてのいのちに関わる問題です。ところが被ばくを危惧する声を
抑えて、福島では20ミリシーベルト帰還政策が強行されています。
その政策を後押しするように、ICRP(国際放射線防護委員会)
の勧告が改訂されようとしています。

ICRPでは、原子力事故における放射線防護の勧告について、こ
れまで、緊急時被ばく状況での被ばくレベルを「20~100ミリシーベ
ルト」としているところを「100ミリシーベルト以下」に、現存
被ばく状況での「1~20ミリシーベルトの低い方、長期的には年間
1ミリシーベルト」を「年間10ミリシーベルト以下、長期的な目標
は年間1ミリシーベルト程度」と、被ばく許容量を緩和する方向に
動いています。しかし、改訂の根拠とされる「宮崎・早野論文」は、
データの不正取得や改ざんといった問題が多数あり、これを根拠に
許容量緩和へ勧告内容を変更することは、「被ばくの押し付け」を
生みだす暴挙といえます。

「宮崎・早野論文」は、2012年より福島県伊達市で全市民へ配
布された個人被ばく線量計「ガラスバッヂ」のデータを根拠にして
います。しかし、本来、ガラスバッヂは、放射線を取り扱う施設に
おいて、管理区域に立ち入る時間内、外部被ばく線量を測定し管理
するときに使用するもので、男性は胸、女性は腹部に着けます。と
ころが伊達市では、その説明すらされず、ガラスバッヂを首から下
げるようにストラップとともに配布されました。しかも、7割の家
庭で屋内に置きっぱなしになっていたり、車やバッグに入れたまま
だったりしており、とても原発事故による放射線被ばくの実態を調
査したものとは言い難いものです。さらに、伊達市からも研究者か
らも何の説明もなく、ガラスバッヂのデータが市民の同意なしに研
究論文の材料に使用されたことは、重大な倫理違反にあたる問題で
す。

論文の内容も、科学的根拠の欠如、計算ミス、改ざん、不都合なデ
ータの切り捨てなどが指摘されているずさんなものです。論文では、
除染前と除染後のガラスバッヂのデータにほぼ変化がないように見
えるグラフを作り、『除染の効果はあまり見られない』とし、『こ
れから70年間住み続けた場合の生涯追加線量は驚くほど低い』と
結論付けています。このことにより、伊達市では独自の基準を設け、
ほとんど除染されていない地域もあります。つまり、この論文は伊
達市独自の除染計画を正当化したものとなっており、さらに、国際
被ばく基準の変更に根拠を与えることを目的した、「歪んだ科学」
が生み出した虚構とさえ言えるものです。これを根拠に被ばく許容
量の緩和がなされることは許されることではありません。

フクシマの経験が、国際的な被ばく基準の緩和に利用されようとし
ています。誰もが被ばくを強要されることなく暮らしていくために、
「被ばくの押し付け」を進めようとする動きを常に注視しましょう。
そして、フクシマの悲劇を二度と繰り返さないために、全国、全世
界の核被害者や市民運動の仲間とのつながりを強め、核に脅かされ
ることのない社会の実現に向けてともに力を合わせることを確認し、
集会のアピールとします。
 
 2019年11月16日


市民集会・脱原発2019in信州

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